院試

院試の勉強はいつから始めるべきか

大学入試に比べて大学院入試は情報がかなり少ないです.大学院に向けての勉強はいつ開始すればよいのか疑問に思うこともあると思います.「思い立ったが吉日,今日だ!」と言いたいところですが,物には適切な始める時期があります.今回は大学院入試を控えている大学生の参考になればと思い,慶應と国公立の大学院入試を1つずつ受験している筆者が,友人との会話なども参考にしつつ院試の勉強はいつから始めれば良いのかを考察していきます.

大前提として大学院入試は大学入試のように5つも6つも受けることができません.これは大学院入試が8月中旬から下旬に集中しており,筆記試験と面接合わせて2~3日間の日程をすべての院試で被らないようにするのが物理的に難しいからです.筆者の周りを見てみてもだいたい2つ,多くても3つの院試を受けるのが現実的なラインではないでしょうか.筆者が学部時代にいた慶應は私立大学のため大学院入試に推薦入試が存在し,多くの学生は筆記試験を受けることなく大学院への切符を手にします.慶應の大学院入試については別記事にまとめたので,そちらをご覧になってください.

院試の勉強をいつから始めるべきかですが,今回は受験する大学院を3つのパターンに分けて答えを出したいと思います.1つ目が自分の大学の院試,2つ目が東大新領域の院試,3つ目が自分の大学より上位の国公立大学(東大を想定)の院試です.それでは始めていきましょう.

①自分の大学の院試

ここは皆さん自身が一番良く分かっていると思いますが,個人的には2か月もあれば十分だと思います.筆者の場合(慶應大学),代々先輩が解いてきた解答付きの過去問を入手し10年分弱を解くことで傾向や頻出問題を把握し,さらに今まで使ってきた教科書やノートで周辺知識まで固めました.筆記試験を受けた周りの友人の中には,2週間前から始めた人やノー勉(落ちる可能性がある手前,全くおすすめしません)の人もいましたが受かっていました.研究室によって忙しさが違うので,学部4年次の忙しさは考慮に入れた方が良いです.研究やその他いろいろな雑務が重なってしまうと,どうしても時間が足りなくなってしまうので,もし学部4年次の春学期が忙しいと分かっているならば,前々から準備しておくことをオススメします.

②東大新領域の院試

東京大学新領域創成科学研究科は東大の中でも少し変わった研究科で,対応する学部が存在しません.通常,大学に工学部がある場合,大学院にはそれに対応する工学研究科が設置されるのですが,新領域には学部に対応するものがありません.これはどういうことを意味するかというと,内部生があまり進学しないため入試が外部生との勝負になります(新領域が入りやすいと巷で言われる所以にもなっています).自分がこれまで勉強してきた科目と入試科目がある程度一致した専攻を受けることになると思いますが,新領域の多くの専攻では英語と専門科目(数学・物理)が試験に課されるので,今回はこれを想定します.個人的には英語ではあまり差がつかず,専門科目で合否が決まると思っています(入試は多くの場合がそう).解答が用意されていない過去問(webから入手可)を解きつつ,数学や物理を完成させるとなると,難易度も加味して試験の4か月前から勉強するのが妥当だと思います.試験が8月にあるとすると,4月から始めれば十分間に合うでしょう.

③自分の大学より上位の国公立大学(東大を想定)の院試

最後にここになりますが,正直他大の入試を受ける方の多くが東大を目指すのではないでしょうか.筆者のまわりでも多くいました.科目は英語,数学,専門科目(複数の科目を選択)で試験時間も長いです.数学と一口に言っても,微分・積分,行列,フーリエ解析,確率,微分方程式などなど様々な勉強をしなければなりません.専門科目に関しては自分の大学で習っている授業と被るはずですが,教科書1つ取っても内部生とは異なる教材を使っているので,抜けがないか過去問を見ながら確かめる必要があります.これらのことを総合的に考えると,友人の意見なども踏まえた上で試験の半年前から準備し始めるのが妥当だと思います.試験が8月にあるとすると,半年前なので2月,秋学期の期末試験が終わり次第すぐに取り掛かるのがベストです.4月になると研究室での活動が始まってしまい,時間が思うように取れない場合もあるので,出来る限り春休みの期間を有効活用しましょう(春休みにもっと院試の勉強すれば良かったと嘆いている友人を何人か見ました).

ここまで色々書いてきましたが,今現在と違う専攻を受験する場合は敢えて書きませんでした.あまりオススメできないからです.違う専攻を受ける場合,習っていない科目が試験科目になるため専門科目を1から勉強する必要がありますが,通常の院試を受ける場合にと比べて労力が何十倍にも跳ね上がってしまいます.また,合格率も極端に低くなるでしょう.今と違う専攻を目指す理由は人それぞれですが,まずは自分の大学の同専攻の中の研究室で,興味のあるところがないか見てみることをオススメします(自分の大学の同専攻であれば比較的簡単に研究室を移してもらえます).それでも興味のある研究室がなければ,そこで初めて他大にある同専攻の研究室に視野を広げてみてください.それでもまだ見つからない場合に初めて異なる専攻の研究室に目を向けるのが良いと思います.それだけその研究室に行きたいという強い意志があれば,困難な院試勉強であっても立ち向かっていけるはずです.

また,安易な気持ちで他大の研究室に籍を移すのも個人的にはお勧めしません.研究室を変えた場合,基本的に研究は新たに1からのスタートになるので,修士で卒業してしまう場合は特に研究期間が足りず,浅い研究になってしまいます.専門を深めて研究に没頭した方が,より実のある研究ができ自分のためにもなるので,その点も踏まえた上で他大の研究室を選ぶかどうか決めてみてください.

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