いきなりですが,皆さんは投資をしていますか?
最近は巷でFIRE(Financial Independence, Retire Early)が流行っていたこともあって,多くの方が資産を増やすために投資に励んでいることと思います.筆者の周りでも,米国株に全資産を突っ込んでいる友人,大企業の日本株を中心に投資をしている友人,インデックス投資メインでNISAを有効活用している友人など様々なスタイルで投資をしている方がいます.
以前は米国株が伸びていたこともあって,「米国株が最強だ」と言う論調が大半を占めていましたが,最近はFRBの利上げもあり米国株が大幅に下げています.そのせいで米国株,引いてはFIREや投資自体の熱狂もひと段落してきたかな,という印象です.様々な文献や中田敦彦のYouTube大学などを見ていても,どうやら「インデックス投資を毎月一定額積み重ねるのが最適解である」というのが,大多数の方が主張している内容だと認識しています.筆者も,同じくインデックス投資をドルコスト平均法で地道に積み重ねていくのが良いと思っています.けれども人間とは欲深いもので,より短期で,より多くの利益を追い求めようとします.
「いきなり一億円入ってこないかな〜」と言ってみたり,さらに象徴的なのが宝くじですよね.何もせずに,いきなり大金を得ようとする人が大勢いる,というのが事実だと思います.そこで,冒頭のタイトルに戻ってくるわけですが,皆さんは何もせず,いきなり楽して大金を得ようとしていませんか? ということを今回は問いかけたいです.これは自戒も込めてなのですが,私個人が最近経験した失敗も大変参考になると思うので,是非見ていただければと思います.
そもそも投資とは,資本を投下して,それに見合うリターンを得ることだと筆者は考えています.100万円投じて,5万円しか返ってこない事業に投資しようとするお人好しはこの世にいないわけですね.ここで重要なのが時間軸なのですが,投資とは本来非常に時間がかかるものなのです.考えてみたら簡単ですよね.今日100万円投資して,明日200万円になることが分かっていれば,全世界の人々がその事業を見逃さないでしょう.1億円投じて,それが10年後に2億円になる.これはあり得そうですよね.実際にビジネスを1億円の元手で初めて,10年後に利益を1億円出している企業は数多くあると思います.
この,100万円投じて明日200万円になっているという詐欺まがいの話と,1億円投じて,10年後に2億円になっているという投資案件を分け隔てるもの,それが時間軸になります.基本的に,年利が10%を超える投資案件というのは,ほぼほぼ詐欺案件であるというのが,お金に精通している人の共通理解になります.これは,「年利が10%を超える案件は存在しない」と言っているわけではなく,「確実に年利が10%を超えます」と謳っている案件は,詐欺であると言っています.
どういうことかというと,リスクとリターンは紙一重だという話です.大きなリターンを狙うには,その分リスクも存在します.ボラティリティが大きくなるという意味です.例え話として,今日からあなたが会社員として生きていくと決めた場合,短期間で大きく給料が跳ね上がることは存在しませんが,一方で大きく給料を下げることもありません.明日から社長として生きていくことを決めた場合,短期間で億万長者になる可能性もありますが,事業が失敗し,一文無しになる可能性もあるということです.
これは投資の世界にも言えて,短期間に大きく稼ごうとする場合は,それなりのリスクを許容する必要があります.「短期間で大きく稼ぎたい」という人々のニーズに応えようとしたサービスが,世の中でいうFXやレバレッジをかけた取引というものです.短期間で,巨額の富を築く可能性がある一方,多額の借金を背負う可能性もある商品です.証券会社は手数料で確実に儲けることができるので,ユーザが巨額の富を築こうが,多額の借金を背負おうが知ったことではありません.
そして今回の記事でお伝えしたいのは,投機で稼ぐことはお勧めしません,という内容です.先程の例でいうと,極端に短い時間軸で利益を上げようとするもの,つまり「100万円投じて明日200万円になっていることを目指す」のは「投資」ではなく「投機」にあたります.一方,長い時間軸で考えたもの,つまり「明日1億円投じて,10年後に2億円になっていることを目指す」のは「投資」に該当します.
ここからが私の失敗談になります.最近私は,経済誌である記事を読みました.年末の12月30日に株を買って,年始の1月4日に株を売ると儲かりますという内容でした.理由は,「年末年始で株式市場が休場の間に起こる出来事のリスクを考慮し,多くの機関投資家は年末に株を売って,年始に株を買い戻すから」というものでした.この記事を読んだ筆者は,「確かに!」と納得し,記事通りに,年末に大金を株に突っ込み,年始に様子を見てみました.結果どうなったかというと,年始に株は大きく値を下げました泣.確か私が保有していた株は1日で6%くらい下げた気がします.6%一気に儲けるはずだったのに,逆に6%の損を出したのです.投資業界で有名なテスタ氏が言っていた,「自分の思う通りに事が進まなかった場合,できるだけ早めに撤退するのが良い」ということを私は行動ポリシーにしていたため,私はそこで一旦損切りを行なったのです.
ということで,私は年末年始,何をすることもなく,ただただ大金を失う人になってしまったわけです.虚無感がすごかったですね.何もしていないのに口座から大金がなくなりました.ここから学んだことを皆さんにお伝えしましょう.それは,今自分が行おうとしていることが「投資」なのか「投機」なのか見極めましょうということです.短期的な儲けを目指している場合はもれなく投機に該当します.例えばデイトレードやスイングトレードなどがそれにあたります.日々の株や債券の値動きで利鞘を取って,儲けようとする考え方ですね.筆者はあくまで,上記の内容を投機として試してみたので,ある意味,心の準備はできていましたが,このような内容を投資だと信じ込んで実行することは本当にオススメしません.
投機の何がいけないのかというと,そこに信じるべき明確なポリシーが存在しないからです.「いやいや,チャートの形から法則的に売り買いを導いているんだよ」と反論されるかもしれませんが,それはあくまで今までの経験から帰納的に導いた手法になります.近年は,機関投資家もAIをフル活用しているので,もしもそんなことが可能なのであればAIを大規模開発している機関投資家が全ての利益を吸い上げることになってしまいます.
短期的な投機は,金融市場の中でゼロサムゲームになってしまいますが,長期的に見れば本来投資というのはプラスサムゲームになり得ます.それは企業が価値を生み出し続けていることに起因します.だからこそ,多くの識者は,時間をかけて主要指標に連動するインデックス投資をドルコスト平均法で買い続けましょうと発信しているのです.
投機はあくまで投機と割り切って,ギャンブルとして行うなら誰からも文句は言われません.例えるなら競馬で利益を出そうとしているのに等しいと筆者は考えています.ただ,ギャンブルはあくまでギャンブルであり,それ以上でもそれ以下でもありません.
投資は長い時間軸で行うものであって,もしもインデックス投資にお金を投下するのであれば,投資とは本来暇なものです.もちろん,個別株に投資をするのであれば,財務指標や決算などを細かく見た上で投資先を判断する必要があります.
短絡的に儲けを目指して投機に走るのではなく,長い時間をかけて今後成長すると思われる業界に資本を投下し,結果として自らの資産を増やしていくことを考えたいものです.
以上になります.