今回は慶應義塾大学理工学部のおすすめ授業を紹介していきます.筆者が学部4年間で受けた授業について,おすすめ度と感想を書いていきたいと思います.慶應理工の授業は「総合教育科目」「外国語科目」「基礎教育科目」「専門教育科目」「自由科目」で構成されているのですが,今回はその中でも一般教養を学ぶ「総合教育科目」を取り扱います(一般的にはパンキョーと呼ばれるものです).慶應理工においては,第1,2学年で10単位,第3,4学年で8単位の総合教育科目を取る必要があり,様々な授業の選択肢があります.筆者が学部4年間でどのような授業を取り,どのような感想を持ったのか,現在大学生の方や興味のある高校生の方に参考になれば幸いです.尚,おすすめ度は☆が多いほどその授業がおすすめであることを示します.それでは早速紹介に移ります.
近現代建築史 おすすめ度:☆
中世から近現代につながる建築様式を広く見ていく授業になります.初っ端からで申し訳ないのですが,おすすめ度は高くないです.筆者は建物や住居の間取りなどを見るのが好きでこの授業を受講したのですが,想像よりもだいぶマニアックな授業でした.鎹(かすがい)の形がどうとか,柱の形状の名前や変遷を細かく紹介するような内容で,建築のディープな話が好きな学生であれば楽しめると思います(私には合いませんでした).大教室での講義形式になっており,成績評価は筆者のときには期末のレポート一発勝負でした.期末がレポートか試験かは,年によって変わる(先生のさじ加減次第)ので,ペーパーになっても対応できるようにしておきましょう.
グローバルリーダーシップセミナー おすすめ度:☆☆☆☆
選抜制の授業になります(履修登録とは別に志望理由を書く).理工の専門的な教育に入る前に,世界に通じる基本的素養(国際感覚,論理的思考力,討論力,言語力,自律性)の必要性を体得するための授業です.週2回の授業構成となっており,週の初めが研究者ゲストを招いた講演および質疑応答,週の後半が学生同士で同じテーマを英語で議論する形になります.帰国子女の学生が多く授業のレベル自体は高いですが,頑張って話す姿勢と内容があれば,多少英語が下手くそでも周りの学生は耳を傾けて話を聞いてくれるので大丈夫です.おすすめ度が高い理由ですが,各ゲストスピーカーが毎回興味深い内容をお話してくれる点と,その研究者と質疑応答する時間が授業内に設けられている点が気に入っていました.研究の第一線にいる方と1対1で質問できる時間は大学生活の中でも貴重な時間で,質問すると成績評価が上がる仕組みにもなっているので,学生がバンバン質問する空気で,質問することに抵抗がなくなります笑.
グローバルリーダーシップセミナー実地研修 おすすめ度:☆☆☆☆☆
上記のグローバルリーダーシップセミナーの実地研修版です.長期休暇を利用して,海外の大学生と一緒にグループディスカッションやプレゼンテーション大会を行います.筆者の年度は2泊3日で台湾の淡江大学に行きました.グローバルリーダーシップセミナーを受講した人は是非この実地研修も受講してもらいたいです.非常に楽しかったという思い出があります.2泊3日の実地研修といっても初日は現地の大学は訪ねず,ホテルにチェックインした後は自由時間だったので日本人学生だけで台湾観光していました笑.ホテルも非常に豪華なところで,女子学生(と男子学生の一部)はなぜかスイートルームが予約されており,友達の部屋に行ってテンションが上がった記憶があります.2日目にようやく現地の大学生と顔合わせをし,グループに分かれてディスカッションと翌日のプレゼンテーション大会に向けての準備をすべて英語で行っていきます.普段英語を使っていないと多少疲れるかもしれませんが,基礎さえ身についていればあとは気持ちの問題なので頑張りましょう.2日目が午後6時くらいに終わると,そこから現地の学生が観光に連れて行ってくれました.現地の人しか知らないB級グルメや,屋台にある臭豆腐などを食べ,最後は軽い山登りをして景色がきれいな場所で集合写真を撮るといった感じです.そこからホテルに戻ると0時過ぎなのですが,なんとそこから翌日のプレゼンテーション大会に向けての資料作りが始まります笑.観光中は当然資料作成の時間などないので,帰ってから担当分のパワーポイントのスライドと発表原稿(だいたい1人あたり5分)を書き上げていくことになります.深夜の作業なのでだいぶ辛かったですが,スイートルームの友達の部屋にみんなで集まり作業をするのは楽しくもありました.そんなこんなで翌日になり,無事プレゼンテーション大会を終えると,お土産などを買って帰宅の途に就くことになります.総じて楽しく,費用も計2万円そこそこなので,やる気のある学生は是非参加してほしい,おすすめできるプログラムです.
心理学Ⅱ おすすめ度:☆☆☆
人気の高い心理学の授業ですが,受けてみた感想としては巷に溢れる心理テクニックといった類のものとは全く別物(当たり前)で,学問としての心理学を取り扱っています.題材も幅広く,「マズローの5大欲求」から「IBMのワトソン(人工知能」といったトピックを映像を使って分かりやすく授業している印象を持ちました.授業は双方向型で,先生からの質問がかなり飛んできます.筆者は階段教室で授業を受けましたが,階段教室はより先生との距離が近く,眠っていたりすると秒で質問されるので注意して下さい.授業の最後に必ず小レポートの提出が求められ出欠が取られます.成績評価は毎回の小レポートと期末のテストで決められますが,内容自体は難しくないので単位を確実に取りに行くという意味でも,ある程度おすすめできる授業です.
総合教育セミナーⅠ(臨床心理学の授業) おすすめ度:☆☆☆☆
通常の履修登録とは別に志望理由を提出しなければならない特別授業です.総合教育セミナーⅠの中でもいくつかの授業が選べるのですが,いずれも少人数セミナーとなっており,発表やディスカッションの機会が多く設けられているという特徴があります.筆者が受講した授業は臨床心理学を扱うもので,10人くらいの学生が持ち回りで自分の興味あるトピックについてプレゼンテーションしました.中には強者ポーズ(自信があるような立ち振る舞いやポーズをしていると,たとえ緊張や動揺していても気持ちが落ち着いてくる)について調べた学生や,箱庭の内容と心理学的な意味の関連付けを発表していた学生がいて非常に興味深く面白かったです.理工学部生は学年が上がるにつれ,研究室などで発表する機会が多くなると思うので,少人数セミナーを積極的に受けて発表や質疑応答の練習をすると良いと思います.
総合教育セミナーⅡ(確率論の授業) おすすめ度:☆☆
これも上記の総合教育セミナーⅠと同じで特別授業になります.総合教育セミナーⅠとⅡはそれぞれ1つの授業しか卒業単位認定されないので,各々興味のある分野をしっかり選ぶことになるのですが,筆者は総合教育セミナーⅡで確率論の授業を取りました.受験生時代に確率が得意で好きだったこともあり,授業を受けるまで楽しみにしていました.内容は,確率の参考書を輪読形式で生徒が持ち回りで発表し,担当生徒が解いた問題を生徒同士でディスカッションするというものです.参考書も簡単すぎず難しすぎず,先生も生徒も良い人ばかりでしたが,如何せん受講学生が少なすぎました泣(片手で収まる程度).持ち回りで参考書の内容を発表するのですが,生徒の数が少なすぎてほぼ2週に1度のペースで黒板の前で発表していた記憶があります.暇な期間なら全く構わないのですが,他のレポートやテストが重なると発表準備自体がかなりの負担になるので早め早めの準備が大事です.ちなみに総合教育セミナーの中ではロボット製作の授業がかなり人気でした.最大定員が20人程度なので上位の授業はすぐに埋まってしまい,中には第4志望の授業を受けている友人もいたので注意が必要です.
少し長くなってきたので,続きはpart2にしたいと思います.