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慶應義塾大学理工学部のおすすめ授業 part3

part1,part2に引き続き,今回も慶應義塾大学理工学部のおすすめ授業を紹介していきます.まだpart1,part2をご覧になっていない方はこちらからどうぞ.

前回に引き続き,筆者が学部4年間に受けた授業,特に「総合教育科目」についてのおすすめ度と感想を書いていこうと思います.履修選びに迷っている大学生や興味をお持ちの方の参考になれば幸いです.尚,おすすめ度は☆が多いほどその授業がおすすめであることを示します.それでは始めていきましょう.

アカデミック・スキルズⅠ   おすすめ度:☆☆☆☆

通常の履修登録とは別に申し込みが必要な特別授業です.筆者のときは通常クラス3つ,英語クラス1つの中から自分の都合の良い曜日を選んで,志望理由書を提出した記憶があります.教養研究センターというところが主催しており,すべての学部から履修することが可能になっています.少人数(20名程度)のセミナー形式で授業が進行し,「自ら考え,調べ,論ずること」を目指して,授業を通して問題意識の喚起,具体的な問題発見に始まり,その問題の解決に至るまでに必要とされるさまざまな学問的・知的作業のためのスキルを習得するという内容です.まあ平たく言ってしまえば「論文の簡易版を書けるようになりましょう」ということになります.ちなみに題材は自分で自由に選んで良いので,授業の自由度は高く,逆に言うと主体性が必要になってくる授業でもあります.ここまで授業の説明を書いてきましたが,雰囲気は大学のゼミのような感じで各個人が自分の研究内容を調査し,3名ほどいる教授陣,または学生同士でフィードバックし合って前に進めていくという形式になります.学生の意識が高いことも相まって,教授とのディスカッションだけではなく,学生との質疑応答でも自分の研究・調査に対する理解が大きく深まりました.アカデミックスキルズⅠでは,仮設の立て方や手法の検討,結果までの持っていき方を初歩から学ぶことができるので,先々の卒論執筆に役立てるという意味でもオススメできる授業です.

アカデミック・スキルズⅡ   おすすめ度:☆☆☆

アカデミック・スキルズⅠで学習した内容を受けて,実際に自身の研究内容を発表まで持っていける段階まで目指すのがこのアカデミック・スキルズⅡになります.Ⅰは春学期,Ⅱは秋学期に開講しているのですが,Ⅱになると学生の数が3分の2程度まで減ってしまいました.必修科目ではないので,他の授業との兼ね合いで授業を切る人が増えるのですが,最後まであきらめずに食らいつくことで,得るものも大きくなります.授業内容としてはアカデミック・スキルズⅠと大きくは変わらないのですが,Ⅰが問題提起までの道のりに重きを置くのに対して,Ⅱではそこから結論までの道筋に重きを置きます.年度末には完成した発表資料を持ち寄りクラス内でのプレゼンテーション大会が行われ,投票による上位2名が全クラスが参加するコンペティションへと駒を進めるといった流れになっています.ちなみに筆者は2票しか獲得できず4位に終わりました(残念).筆者は発表を終えた後で少し後悔したことがあり,調査をすることで定量的に物事を論じることができるような題材(問題提起)を選べばよかったと思いました.授業では芸術関連のテーマを選んだのですが,芸術の性質上どうしても作品を数値化することは難しく,時代背景も複雑に絡み合ってくるので問題提起から結論までの道筋が立てにくかった思い出があります.また少し注意する点として,教授陣はT.A.の方も入れて4名の方がいらっしゃるのですが,学生が選ぶテーマが幅広いこともあり,教授の専門分野と大きくずれるとどうしても対応しきれないことがあるので,その意味であまりに教授に頼りすぎる姿勢は危険です.ここまで色々言ってきましたが,いずれにせよ問題提起→仮説→調査→結論の流れを理解し,実際に行ってみる経験は非常に貴重なものになるので,是非授業を受けることをおすすめします.実際に手を動かして作業することで,頭で理解するだけでは到達できない気づきや発見が得られるはずです.

生命の教養学   おすすめ度:☆

教養研究センターが開講している特別授業になります.「生きる」という人間・生物の基本的な営みについて考え直すために,生命科学,生命倫理,生命システム論,生命主義から身体芸術にいたるまで多様な領域の講師陣を招き,講義を受ける授業になります.平たく言ってしまえば,生命に関わる講師陣のオムニバス形式の授業になります.通常の大学の授業と変わらず大教室で講義を聞くだけなので目新しさは特になかったです.また,扱う内容が重く倫理的な事項も多くなってくるので,そのような内容が楽しめる学生でないと,ただ授業を聞いて授業後レポートを提出するだけの作業になってしまうかもしれません.おすすめ度が示すように,筆者自身はそこまで楽しむことは出来なかったのですが,生命に対しての倫理観であったり,そのようなシビアな問題に向き合う力はつくと思います.成績は普段の小レポートと期末試験で決まりますが,期末試験は小論文形式なので単位を取ることに関してはそこまで心配する必要はありません.

ドイツ語セミ・インテンシブ3   おすすめ度:☆☆☆☆

3年生のときに矢上で受けたドイツ語のセミ・インテンシブクラスになります.2年生のころにドイツ語のインテンシブクラスを受けていた筆者は,矢上に移ってからもドイツ語の勉強を継続しようと考えていました.理工学部は3年生になると本格的に専門教育科目を受けることになるので,迷った結果労力はそちらに回そうと決断しました.一応矢上のインテンシブクラスも初回授業を受けてみたのですが,教科書の分厚さやドイツ語でのディスカッションに圧倒され尻込みしてしまいました.後々になって考えてみると,インテンシブクラスをとって能力をストレッチしながら頑張ってみるというのも悪くなかったかなと思います.インテンシブクラスを取るとドイツ人の先生にlistening & speaking を教えてもらえるので,ドイツ語のリスニング能力も上がり独検2級程度なら軽く狙えるのではないでしょうか(セミ・インテンシブだと独検2級は少し難しいです).もし迷われている方がいましたら,インテンシブクラスの受講をおすすめします.セミ・インテンシブクラスですが,筆者のときは20名程度で2年次のインテンシブクラスから同じく流れてきた人も多くいました.軽い会話の練習をした後は,ドイツ語の小説を教材にしてそれを和訳していくことで,ドイツ語の単語や文法,ドイツの文化などを学んでいきます.予習は必須で,各生徒が持ち回りで和訳を担当していくことになります.2年次にインテンシブクラスを受講していた筆者は,それに比べてだいぶ負担が軽減されたなと感じました.また,ドイツ語セミ・インテンシブクラス3,4を両方取ると,学期中に頑張るだけで期末テスト一切なしのまま矢上単位分(8単位)の総合教育科目を取り切ることができるので単位という面でも効率的です.ドイツ語学習を継続しながら単位を取り切ることができるので,第2外国語を頑張る気のある学生には是非おすすめしたい授業になります.

ドイツ語セミ・インテンシブ4   おすすめ度:☆☆☆☆

秋学期に開講される矢上のドイツ語セミ・インテンシブクラスになります.春に比べてだいぶ学生の人数が減り,なんと片手で数えられるくらいの人数になってしまいました.ベルリンの壁を題材にした小説・映画を教材にし,前期と同様に小説の和訳→対応する場面の映画の鑑賞という順で授業は進みました.片手で数えられるくらいの学生しかいないので,和訳の予習はだいぶハードでしたが先生との距離は近く,和気藹々とした雰囲気で授業を受けることができました.また,クリスマスにはインテンシブクラスと合同でクリスマスパーティーが開かれ,催し物の鑑賞やご飯,お酒などが振舞われた記憶があります.大学1年生から3年生までドイツ語を継続して学習する学生は少なく,顔見知りも多くなってくるため楽しむことができました.学内で知り合いも増えるため,履修して損することはないオススメの授業だと思います.

以上でpart1からpart3まで続いたおすすめ授業の紹介を終わりたいと思います.参考になったでしょうか?

総合教育科目(パンキョー)の選択は迷うことも多いですが,楽単かどうかよりも自分の興味ある分野を取ることがおすすめです.また筆者個人としては大教室の授業より,少人数の授業やセミナーなど双方向でやり取りが発生する授業の方が楽しめました.語学についても英語や第2外国語など様々な授業が開講されているので,是非初回授業に参加して自分に合っているか確かめた上で受講することをおすすめします.

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