修士の学生の皆さん,研究は順調でしょうか?
このページにたどり着いたということは,あまり順調ではない人が多いのではないでしょうか.かく言う私も修士時代の研究活動は全く順調ではありませんでした.思い返してみると,「修士 つらい」とGoogle検索する程度には焦っていたと思います.私は学部時代と修士時代で研究室を変えており,研究テーマも修士で初めて扱う内容でした.自ら望んだことなので後悔は一切ありません.しかし,所属した研究室は各学年1人いるかいないかの小規模研究室かつ先輩に教えてもらえるような環境でもなかったので,1人で研究活動をしておりました.
基本的に研究室は大所帯のところを選ぶべきだと個人的に思っているのですが,いまさらこんなことを言ってもしょうがないので,同じような境遇で不安に思っている学生,修士の研究活動が上手くいかず,本当に修士論文を書いて修了(卒業)できるのか不安に思っている学生を励ますためにこの記事を書いています.
まず最初に結論から言うと,どんな酷い内容であっても何かしらの結果さえ出せば修了(卒業)することができます.これは実験でもシミュレーションでも変わりません.たとえシミュレーションが失敗に終わっても,実験が失敗に終わっても,「失敗に終わった」と言う結果に対して考察を付け加えることができるからです.博士課程になると話が変わってくるのですが,少なくとも修士に関してはそれで卒業することができます(教授が言っていたので本当です).博士課程の話を少しすると,博士課程を修了するには基本的に学術誌に論文を通す必要があります.大学によって違いがあるとは思いますが,修士+博士の間で大体2-3本くらいの論文を通すイメージでした(所属していた慶應の研究室の場合).博士論文は今までに出した論文をまとめるイメージなので,労力的には修士論文より楽かもしれません(その代わり学術誌に論文を通すのに非常に苦労する).
少し話が逸れたので元に戻すと,たとえ今研究活動が上手くいっていなくても,なんとか実験orシミュレーションの「結果」だけは出してください.そして修士論文を書き切ることが重要です.修士論文を書き切った上で提出し,修士論文発表会を乗り切りさえすれば,確実に卒業することができます.修士論文は研究分野にも依りますが,ページ数で言うと大体50ページ以上にはなると思います.修士2年の学生に特に強く言っておきたいのは,修士論文を出来るだけ早く書き始めてほしいということです.修論は早く書き始めて損になることはほぼありません.余裕を持って書き始めることで,何回も推敲する余裕が生まれ結果として質の高い論文に仕上がります.
ここからは私の体験談になります.修論の締め切りはおよそ1月末あたりに設定されていることが多いのですが,あろうことか私は12月に突入した時点で1 mm も書き始めることができていませんでした.表紙が完成していたくらいです.しかもまだ結果が出揃っていなかったため,この期に及んで修論を書くことを後回しにしていました.正月に入ってもようやく序論が完成したくらいの進捗具合で,ページ数にして15ページほどしか進んでいませんでした.この頃になると,「本当に自分は卒業できるのか」という不安と常に戦っていたと思います.この頃の1日のスケジュールですが,朝は6時に起き,支度完了後すぐに研究室に向かいます.研究成果である結果データの見栄えを整えたり,修論を急いで書いたり,終わったところまでの添削を受けるため修論を教授に提出したりしていました.教授が教育熱心だったこともあり,毎回赤ペンが大量に入った修論を持ち帰り,修正を施します.既に書きましたが,私の研究室は学生があまりいなかったこともあり,学生と会話することもなく全て1人でこれらの作業をこなしていきます.朝食,昼食,夕食は研究室で摂り,夜中の12時に帰宅します.そしてまた翌日6時に起床し同様のスケジュールをこなしていきます.このスケジュールを約1ヶ月,修論提出日まで継続しました.正直苦行でしかなかったです.孤独でしたし,なんか心臓が時々痛くなった気がします.
そんな苦行に耐えながら,無事1月末に修論初稿を提出し,修論発表会の準備をして当日に備えます.発表後の質疑応答を耐え切ると春がやってきます.正確にはその1ヶ月後に最終稿の提出が控えているのですが,抜け殻になった私はほとんど手を加えないまま提出した記憶があります.ここまで書いてきましたが,当時を振り返り,皆さんに私なりのエールを送りたいと思います.
- 決してあきらめない
- 現状を甘んじて受け入れる
- どんなに酷い内容の修論でも体裁を整えて提出しさえすれば修了(卒業)できる
この3つを胸に刻んで欲しいと思います.まず1つ目の「決してあきらめない」ですが,やりきりさえすれば必ず卒業できるので,決してあきらめないでください.この時期は既に進路も決まっていることでしょうし,今あきらめるという選択をすることで将来さらに苦しくなります.2つ目の「現状を甘んじて受け入れる」ということに関してですが,現状苦しい状態にあるということは甘受してください.そういう修行だと思ってください.いいじゃないですか.今が多少苦しくても社会人になれば楽しいことが沢山あります.現状が苦しいのは過去の自分が頑張らなかったせいであり,そのことを嘆いても何も始まりません.孤独な研究という苦行に耐え,楽しい未来をみましょう.3つ目の「どんなに酷い内容の修論でも体裁を整えて提出しさえすれば修了(卒業)できる」ですが,これは実際その通りで,ぱっと見の体裁が整った修論を提出し,修論発表をしさえすれば修了は必ずできます.最終稿提出までの間に指摘された箇所を直せば良いのです.何も恐れる必要はありません.「です・ます調」を混在させた,いかにもコピペっぽい修論を提出した学生さえ修了することができていたので間違いないです(注意はされていました笑).
最後に,もしこの記事を修士2年の中頃までに見ている方がいましたら,ぜひ修論に今すぐ取り掛かって欲しいです.精神衛生上の負担が全く違ってきます.「まだ早すぎるでしょー」,私もそう思っていました.しかし,時が過ぎ去っても自分が思っているほど状況は一切好転しません.ただ締め切りまでの時間が短くなるだけです.今の時点で書ける箇所は部分的にでも構わないので書いてしまってください.修論は基本的にTexで書くため,操作に慣れていなかったり,図の解像度が低かったりすると,それだけで時間を食ってしまいます.修論を早く書き始めることで,そのようなネックの早期発見にも役立ちます.ちなみに私はAdobe Creative Cloudを学生価格で契約し,Adobe Acrobat DCで修論の図をpdfにしTexに組み込んでいました.作業が捗るのでおすすめです.
長くなりましたが,この記事で伝えたかったのは2つです.修論に関して絶対にあきらめないこと.修論には出来るだけ早い時期から取り掛かること.この2点です.おまけとして,意外と皆さんが思っているより出来が悪くても修士は修了(卒業)できてしまうことを付け加えておきます.それでは皆さん研究頑張ってください.